2024.5.30
施設の選び方
介護福祉士
花井 敦由奈(はない あゆな)

老人ホームの選び方9つのポイント 良い施設の見極め方

施設の選び方

「親にぴったりの老人ホームを選びたいけど、施設の特徴がわからない」「施設選びのポイントを知りたい」と悩んでいる方も多いかもしれません。この記事では、老人ホームを選ぶ際の重要なポイントをわかりやすく解説しています。施設の種類や費用、リハビリの充実度から、施設の雰囲気や介護・医療体制など重要な要素を紹介しています。

さらに施設の選び方についても、具体事例を挙げながら説明しています。見学時のチェックポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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老人ホームの選び方ポイント9つ

ここでは、老人ホームの選び方について、ポイントを9つにまとめて説明していきます。具体的には以下の9つです。

①老人ホームの種類②費用③リハビリ④施設の雰囲気⑤介護・医療体制⑥食事の内容⑦立地・周辺環境⑧設備の充実度⑨看取りの対応

それでは、順番に紹介していきます。

老人ホームの選び方①老人ホームの種類

老人ホームを選ぶ際には、まず施設の種類を理解することが重要です。種類によって、入居条件や提供されるサービスは異なります。「何となく」施設を選んでしまうと、期待していたサービスを受けられず、不満が高まり退去してしまう可能性もあるのです。施設を選ぶ際には、以下のことを明確にしておきましょう。

  • ・どういう目的で入所するのか
  • ・施設に何を求めるのか
  • ・親にどんな風に過ごしてほしいか

以上を明確にしておくと、施設選びの際に選択肢を絞ることが可能です。例えば、アットホームな環境で認知症に特化したケアを受けたいなら、グループホームが適しています。また、サークル活動やレクリエーションなどに参加して活発に過ごしてほしいなら、有料老人ホームがおすすめです。有料老人ホームでは、さまざまなアクティビティが提供されており、入居者が社会的なつながりを持ちながら、生き生きと過ごせる環境が整っています。

まずは、老人ホームの種類と特徴を把握することから始めましょう。主な施設の入居条件と特徴を簡単にまとめましたので、参考にしてください。

老人ホーム選び方

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老人ホームの選び方②費用

老人ホーム選びには、費用の確認が重要です。費用には「初期費用」と「月額利用料」の2種類がありますので、それぞれの特徴を簡単に紹介します。

老人ホーム選び方

※初期費用や月額利用料は、施設によって大きく異なります。特に入居一時金は、0〜数千万円と多様です。

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老人ホームの選び方③リハビリ

老人ホーム選び方

老人ホームを選ぶ際には、リハビリが充実していることも欠かせません。適切なリハビリによって、活動能力の維持や向上が期待できるからです。例えば、リハビリの専門家が常駐している施設では、個別のリハビリプランが作成され、利用者一人ひとりの状態に合わせたリハビリが行われます。これにより、利用者は自分のペースで無理なくリハビリに取り組めるため、身体機能の維持や改善が期待できるのです。

また、リハビリの充実度は施設によって大きく異なります。生活リハビリとは、日々の生活の中でご本人に必要な動作をできるように支援するリハビリです。例えば、歩行が難しい方には一緒に歩いて見守りや介助を行ったり、入浴や着替えなどの生活に必要な動作を自分で行えるよう部分的に介助したりします。

さらに、リハビリが充実している施設では、利用者の気持ちに寄り添い、本当にやりたい活動をサポートする環境が整っています。例えば、趣味活動や社会参加のためのリハビリが行われます。園芸が好きな利用者には庭での作業をサポートし、手芸が好きな利用者には手先の器用さを維持するために一緒に作品をつくるリハビリを提供するなど、個々のニーズに合わせたサポートが行われているのです。

このような施設であれば、ご本人は自信と生きがいを感じられる毎日を過ごせるでしょう。リハビリを通じて、身体機能の維持・向上だけでなく、精神的な充実感も得られるため、生活の質が大きく向上します。リハビリが充実している老人ホームを選ぶことで、ご本人が充実した生活を送れるのです。

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老人ホームの選び方④施設の雰囲気

施設の雰囲気も大切です。普段の雰囲気や職員の対応を確認することで、快適に過ごせるかどうかがわかります。例えば、施設全体が清潔であるかどうかは、入居者の健康や快適な生活に直結します。見学時には、廊下や共有スペースの清掃が行き届いているか、ゴミや汚れが放置されていないかを確認しましょう。

また、職員の態度や対応が親切かつ丁寧であることも重要です。入居者に対する職員の接し方や言葉遣い、笑顔で対応しているかなどを注意深く観察すると良いでしょう。

さらに、イベントやレクリエーションが充実している施設は、入居者の生活の質(QOL)を向上させます。例えば、週に一度の音楽療法や、月に一度の誕生日会、季節ごとのイベント(花見、夏祭り、クリスマス会など)が定期的に開催されている施設は、入居者が楽しみを持ち、生活にメリハリを感じるでしょう。また、日常的に行われるアクティビティ、例えば手芸教室や体操教室、映画鑑賞会などは、入居者が趣味を楽しみながら社会的なつながりを保つために役立ちます。

施設見学時には、どのくらいの頻度でイベントが開催されているのか、入居者の参加率はどの程度か、イベントに対する入居者の満足度や反応などをスタッフに尋ねるのも有効です。イベントが活発に行われている施設は、入居者同士の交流が豊かで活気にあふれています。

施設の雰囲気や職員の対応、イベントの充実度を重視して、安心して過ごせる老人ホームを選びましょう。こうしたポイントを押さえることで、入居者が心地よく、充実した生活を送れる施設を見つけることが可能です。

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老人ホームの選び方⑤介護・医療体制

老人ホームを選択する際には、介護・医療体制の確認が重要です。高齢者は予期せず介護や医療が必要になることが多いため、緊急時に対応が受けられるかどうかを確かめる必要があります。例えば、持病を持っている高齢者や、日常的に医療ケアが必要な方の場合、定期的な医師の診察が受けられることは非常に重要です。

まず、医師が定期的に往診する体制が整っているかを確認しましょう。週に一度や月に数回、医師が施設を訪れて健康チェックや必要な治療を行ってくれる施設は、安心感があります。また、夜間の医療職や介護職が、どの程度緊急対応できるかも重要なチェックポイントです。例えば、夜間に急な体調不良が発生した場合、看護師が常駐している施設や、医師がオンコールで対応できる体制がある施設なら安心感を持って生活できます。

さらに、介護スタッフの配置状況も重要です。介護スタッフが十分に配置されている施設は、入居者一人ひとりに対するケアの質が高まります。例えば、食事の介助や入浴のサポート、排泄の介助などがきめ細やかに行われるだけでなく、入居者とのコミュニケーションも充実し、精神的な安定にもつながるのです。また、スタッフの経験や資格、研修状況も確認すると良いでしょう。質の高い介護サービスが提供されることで、入居者は安心して生活することが可能です。

見学時には、介護・医療体制についてスタッフに詳細を確認し、自分や家族のニーズに合った施設を選びましょう。

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老人ホームの選び方⑥食事の内容

食事内容も事前に確認しておきましょう。老人ホームで生活する方にとって、食事は最も大きな楽しみの一つだからです。食事については、施設も様々な努力をしていますが、好みに合わない場合、クレームが出ることもあります。中には、食事が原因で退所を希望するケースもあるほどです。

また、介護食への対応がしっかりしているかも確認しましょう。高齢者は、持病や嚥下障害などにより、特別な食事形態が必要になることがあります。例えば、お粥や刻み食など、利用者の状態に合わせた食事形態に対応できるかを確認することが重要です。

見学時に試食できる施設もありますので、ぜひ活用してください。食事の内容や提供方法についてスタッフに詳しく尋ね、ご本人の好みや健康状態に見合った施設を選びましょう。これにより、安心して食事を楽しめるため、生活の質も向上します。

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老人ホームの選び方⑦立地・周辺環境

老人ホーム選びには、立地と周辺環境の確認が重要です。入居後も家族の訪問は必要なので、通いやすい場所にある施設を選びましょう。具体的には、駅やバス停から近いか、公共交通機関のアクセスが良いかを施設のホームページなどで確認しておきます。

また、周辺に日常の買い物ができる商業施設があるかどうかも重要です。例えば、施設の近くにスーパーやドラッグストアがあれば、必要なものをすぐに購入でき、生活の利便性が向上します。さらに、近くに散歩できる公園があるなど、リラックスできる環境があれば、なお良いでしょう。自然に囲まれた場所や、静かな住宅街に位置する施設は、入居者が安心して過ごせます。

このように、立地と周辺環境を重視して施設を選ぶことで、入居者が快適に過ごせるだけでなく、家族や友人が訪問しやすくなり、充実した生活を送ることが可能です。

老人ホームの選び方⑧設備の充実度

老人ホーム内の設備がどの程度充実しているかも重要です。特に、居室の使い勝手や共有スペースの広さ、入浴設備は、生活の質に直結します。

居室は、ご本人が過ごしやすい空間であることが大切です。広すぎず、狭すぎず、手すりなど必要な設備が整っていることが求められます。また、自宅から家具を持ち込めるかどうかも確認しましょう。慣れ親しんだ家具を使用することで、新しい環境にスムーズに適応しやすくなります。

さらに、車いすでの移動が必要になっても入浴できる「機械浴の設備」があるかどうかも重要です。高齢者の状態は変化しやすいため、多様なニーズに対応できる設備が整っていることを確認しましょう。

また、施設内の環境も重要です。施設の庭やテラスが整備されているか、日当たりが良く、自然光が入るかどうかもチェックしましょう。入居者が庭に出やすい環境や、施設内でリラックスできるスペースがあることは、生活の質を向上させる要素となります。

このように、老人ホームを選ぶ際には、設備の充実度を重視することで、ご本人が快適に過ごせる環境を整えることが可能です。

老人ホームの選び方⑨看取りの対応

入居者が最期を迎える際、施設がどのようなサポートを提供してくれるかを確認することも重要です。最近では、看取りに対応する介護施設も増えています。「介護施設で看取りをお願いしたい」と考えている場合には、必ず確認しておきましょう。

施設に確認しておきたい内容は、以下の3つです。

  1. ・看取りの実績
  2. ・夜間に急変した場合の対応
  3. ・家族へのサポート体制

看取り期には、家族も精神的なサポートを必要とします。施設が、家族とどのようにコミュニケーションを取り、支援を提供してくれるかは重要です。また、家族が施設に宿泊できるかどうかも確認すると良いでしょう。施設の対応がしっかりしていることで、入居者と家族が安心して最期の時を迎えられます。

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事例ごとに見る老人ホームの選び方

老人ホーム選び方ここでは3つのパターン事例を挙げながら、それぞれに適した老人ホームの選び方を紹介します。なお、利用者の設定は「一人暮らしの70代女性」です。具体的な事例は以下の3つです。

  1. パターン1:退院後、ご自宅での生活が困難            
  2. パターン2:一人暮らしで、何かあった時に心配
  3. パターン3:認知症で、今後家で暮らしていくのが大変

それでは、順番に紹介していきます。

パターン1:退院後、ご自宅での生活が困難

「親が脳梗塞や骨折などで入院中。退院を控えているけど、一人暮らしなので自宅に戻ってからの生活が心配」というケースは多くあります。ヘルパーやデイサービス、ショートステイを利用しても、家族は強い不安を感じるでしょう。特に、車いすでの移動が必要だったり、麻痺があったりする場合、在宅生活が困難になることが考えられます。

このような状況では、介護サービスが充実し、自分らしい生活を尊重してくれる「介護付有料老人ホーム」の利用を検討するのがおすすめです。有料老人ホームは、バリアフリー設計や介護スタッフの常駐など、車いすや麻痺のある方でも安心して暮らせる環境が整っています。

リハビリやイベント、レクリエーション活動も充実しており、身体機能の維持・向上が期待できます。また、施設内での自由度が高く、個々のニーズに合わせたケアが提供されるため、入居者の尊厳を保ちながら生活できることも特徴です。

さらに、介護付有料老人ホームでは、家族の負担を軽減するためのサポート体制も整っています。定期的な家族会や相談窓口が設置されており、家族とのコミュニケーションも重視されているのです。これにより、家族も安心して入居者をサポートできます。退院後の生活に不安がある場合は、施設見学や相談窓口を活用し、ご本人に合った介護付有料老人ホームを選びましょう。

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パターン2:一人暮らしで、何かあった時に心配

「今は自立して生活できているけど、一人暮らしなので何かあった時に心配」というケースがあります。このような場合、ご本人の状態に適した老人ホームを選ぶことが重要です。

まず、現時点で身体的な介護や見守りが必要かどうかを考えましょう。自立している方や軽度の介護が必要な方には、ケアハウスが適しています。ケアハウスは比較的自由度が高く、食事の提供や安否確認を受けることが可能です。

また、今後介護が必要になることを考慮するなら、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)がおすすめです。サ高住は、見守りや生活支援が充実しており、将来的に介護が必要になった場合もスムーズにサービスを受けられます。介護サービスは外部の介護事業者から提供されるため、自分に合ったサービスを選ぶことも可能です。

さらに、サ高住はバリアフリー設計が基本となっており、安心して生活できる環境が整っています。緊急時の対応や見守りサービスがあるため、家族も安心です。また、施設内のコミュニティ活動が充実しているところも多く、社会的なつながりも保てます。

一人暮らしに不安がある場合は、ケアハウスやサ高住を検討し、自分の生活スタイルや将来のニーズに合った施設を選びましょう。見学や相談窓口を活用して、最適な選択をすることが大切です。

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パターン3:認知症で、今後家で暮らしていくのが大変

「認知症の症状が進行して、自宅での生活が難しくなってきた」というケースがあります。診断を受けた後、ゆっくりと進行していくのがアルツハイマー型認知症です。認知症の約半数を占めると言われています。

以下のような症状が現れると、自宅での生活は困難になります。

  • ・もの忘れがひどく約束を忘れてしまう
  • ・買い物に行って、同じものを繰り返し買ってくる
  • ・外出した後、道に迷って帰れない
  • ・火の扱いができずボヤ騒ぎを起こす

道に迷ったり、火の扱いを誤ったりすると、命に関わる危険があります。このような状況では、認知症に対応できる施設を選ぶことが重要です。

まず、認知症の方に適した施設としてグループホーム(GH)があります。グループホームは、認知症の方が少人数で家庭的な環境の中で生活する施設です。専門スタッフが24時間体制でサポートしており、安心して生活できます。また、職員のサポートを受けながら食事の準備や洗濯など、ご本人が無理のない範囲で役割を持てるのも大きな特徴です。

認知症の方には、介護付き有料老人ホームも適しています。介護付き有料老人ホームは、手厚い介護サービスが提供され、認知症の方でも快適に生活できるよう配慮されているのです。介護職員や看護師が配置されているため、安心して生活を送れます。リハビリやレクリエーション活動も充実しており、身体機能の維持や認知症の進行を遅らせる効果も期待できるのです。

施設を選ぶ際には、認知症ケアの専門知識を持ったスタッフが常駐しているか、個別に対応しているかを確認しましょう。これにより、個々の状態に合わせた適切なケアが受けられ、安心して生活できます。施設見学や相談窓口を活用して、家族に最適な施設を選ぶことが重要です。

老人ホームの認知症について詳しい解説はこちら

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老人ホーム選びのチェックポイント

老人ホームを選ぶ際には、上記でご紹介した「9つのポイント」を押さえておきましょう。空き状況や費用だけで施設を選ぶと、ご本人や家族の希望に合わず、退所することになりかねません。ここでは、老人ホーム選びに必要な「9つのポイント」の特に重要な点を、おさらいとして紹介します。

まず、家族に合った施設を選ぶためには、「なぜ施設に入所するのか」「どんな介護サービスを求めるのか」「どんな生活を送ってほしいか」を明確にすることが重要です。

次に、施設の種類を確認しましょう。特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホームなど、それぞれに特徴があります。ご本人や家族のニーズに合った施設を選びましょう。

費用の把握も重要です。初期費用と月額利用料の両方を確認し、予算に合った施設を選びましょう。リハビリの充実度や施設の雰囲気も大切なポイントです。リハビリが充実している施設は、身体機能の維持・向上が期待できます。

さらに、介護・医療体制の確認も必要です。介護・医療スタッフの配置状況や緊急時の対応体制を確認しましょう。食事の内容や立地・周辺環境も見逃せません。食事が美味しく、栄養バランスが取れているか、施設の周辺環境が便利で安全かを確認します。

そして、必ず施設見学を行うことをお勧めします。見学することで、施設の雰囲気やスタッフの対応、設備の充実度を確認できるからです。事前にチェックリストを作成し、見学時に確認したい事項を整理しておくと良いでしょう。

老人ホーム選びは、入居者のQOL(生活の質)に直結する重要な選択です。上記「9つのポイント」を押さえ、施設見学を通じて自分や家族に最適な施設を選びましょう。

見学の勧めについてはこちら

困ったら入居相談の専門家に相談 

ここまで老人ホームの選び方について解説してきましたが、入居を検討される方一人ひとりそれぞれ状況が異なり、施設を検討する理由もそれぞれです。もし困ったことがあれば専門の相談員に相談することをお勧めします。アクタガワのぺんぎん介護サポートセンター(外部リンク)では施設の種類についての説明や、お勧めできる施設についてもご相談いただけます。お気軽にお問い合わせください。

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介護福祉士
花井 敦由奈(はない あゆな)

小規模多機能型居宅介護、デイサービス、訪問介護の現場に従事し、介護福祉士の資格を取得する。訪問介護ではサービス提供責任者として様々な在宅介護の現場を経験。お客様やご家族様とコミュニケーションを図りながらニーズを探り、ケアマネジャーと連携を取りながら様々なケースに対応してきた。