2024.4.11
施設の介護について
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者
増田 高茂(ますだ たかしげ)

老人ホームに入居しても外出・外泊はしていいの?

施設の介護について

老人ホームでの生活は決して施設にこもりきりという訳ではありません。老人ホームに入居してからもレクリエーションとして外出したり、ご家族様と一緒に外出・外泊したりといったことは基本的に可能です。ここでは老人ホーム入居後の外出・外泊のメリットや注意点について説明します。

老人ホームは外出・外泊していいの?

老人ホームへの入居を嫌がる理由の一つに、自由に外出や外泊ができないことを挙げる方もいます。しかし、今の老人ホームでは様々な形で外出が可能であり、決して閉じこもりきりという訳ではありません。コロナ禍では様々な制限が余儀なくされていましたが、五類に移行してからは今まで通り外出や外泊を自由にできるようになった施設も少なくありません。施設によっても対応が異なるため、詳細については施設に直接問い合わせることをお勧めします。

外出・外泊OKな施設が多い

健康で介護を必要としない人の暮らしでは、天気が悪いなどの理由がなければ、何らかの理由で毎日出かけるのは当たり前のことではないでしょうか?介護が必要となることで外出しなくなることは、その当たり前の機会を失ってしまうことになります。そのため、比較的元気でしっかりとされている方についてはご家族様と相談し、施設側も問題ないと判断される方は一人での外出が認められる場合もあります。またレクリエーションなどで外出することは、人員の関係もあるため残念ながら毎日行うことは介護施設において難しいと言えます。しかし、ご家族様と一緒であれば外出可能な場合が多いです。ご家族様と一緒に外出できることは、入居されている方にとって大きな喜びと言えます。

外出・外泊を控える必要がある場合

老人ホームで外出を控える必要がある場合世間の情勢やご本人様の状態などにより外出や外泊することが制限されることもあります。運営上必要な対応となるので、そのような場合があることを理解しておく必要があります。

感染症流行期

コロナ禍では通院などの場合を除き外出制限がされている施設が多くありました。施設では施設内にウイルスを「持ち込まない」ことを最重要視して対応しているため、「不要不急」とされるような目的での外出を控えるようにお願いしています。近年も様々な感染症が流行しています。インフルエンザの流行期にも同様の外出・外泊制限がなされる場合もあるため、制限の内容については各施設に確認してみるのが良いでしょう。

認知症

認知症と診断されている方については、状態にもよりますが、基本的には一人での外出は制限されている場合が多いです。認知症により道が分からなくなってしまったり、信号が判断できなかったりすることはもちろん、その他にも様々な問題が考えられるからです。外出時には職員が付き添うかご家族様が付き添う必要があります。

その他体調不良時

介護施設に入居している高齢者は、何かの疾患を抱えている場合が多いです。施設では毎日体温や血圧等を測定して健康状態を確認しています。事前に外出を予定していても、血圧が高い場合などは安静にしていた方が良い場合もあります。外出を予定している日にご本人様の体調に問題が見られる場合には、施設よりご家族様に連絡を入れ、外出を再検討していただくことがあります。

これら以外にも、施設の運営方針や状況に応じて外出を控えるようお願いすることがあります。

外出・外泊するメリット

外出や外泊をすることで、どのようなメリットがあるのでしょうか。こちらでは外出・外泊することが施設に入居されている方に与える良い影響について説明します。

気分転換

施設の外に出ることによるメリットのひとつに、まず気分転換が図れることが挙げられます。外に出ると気候や景色などで季節を肌で感じることができ、施設にいた時には得られなかった刺激を受けることができます。また外泊で久しぶりにご家族様と過ごすことにより、普段とは違う気分で過ごせるでしょう。

外出は入居者が社会に触れる数少ない機会です。介護状態になると社会との接点が少なくなったり途切れたりするため、それも認知症の進行の一因とも言われています。社会の一員としての自分であることを感じられる外出は、介護が必要な方にとってこそ重要なことと言えるかもしれません。

体力の維持・向上

外出時は施設内では歩いたことのない道を歩くことになります。外の道は平坦なものばかりではなく、段差や凹凸などがある道もあり、歩き慣れない道を歩くことで体力の維持・向上が望めます。また施設内で歩行するより外を歩いた方が景色も変わるため、楽しく歩けるかもしれません。

静岡有料老人ホーム_資料請求

外出・外泊する時に注意すべき点は?

外出の際に気を付ける点ご家族様と一緒に外出や外泊をすることが度々あると思いますが、自由に外出できるということは、それだけリスクを伴います。ここでは外出・外泊時に注意しなければならないことについて説明します。

事前に申請する

外出・外泊の予定が決まったら施設に事前に伝えておく必要があります。主な理由として、事前に食事をキャンセルしておかなければ食事代がかかってしまうためです。施設によって何日前までに食事をキャンセルするか決まっていることが多いため、一度施設に確認しておくことをおすすめします。

外泊中も利用料はかかる

外泊している間も部屋の料金はかかります。万が一入院などで暫くの間施設を離れたとしても、退去となることはありませんがその間の利用料はかかります。そのため、入院となった際には今後のことをどうするか慎重に検討していく必要があります。

付き添う人が介助者

外出する時にご家族様が一緒に付き添う場合、そのご家族様が「介助者」となります。入居者は介護状態から一人で歩くことができなかったり、介助がなければトイレに行くことができなかったりします。その対応はすべて付き添いの介助者が行うことになります。また、少し目を離した隙にいなくなってしまい、探し回らなければならなかったということもあります。急変時の対応など、頭の隅において外出する必要があります。

長時間の外出は本人の体調確認をしながら

入居されたご家族様は、施設に入居する前とは状態が変わっていると考えておく必要があります。自宅で過ごしていた頃よりも長い距離を歩けなくなっている、食べこぼしが多くなっている、認知症が進んでいるなど実感することも多いと思います。同様に、入居者の体調にも注意が必要です。施設に入居後に体力が低下していることもあります。体調を確認し、こまめに休憩を挟むようにしてください。

薬の持参を忘れずに、遠方なら医療機関を確認

長時間の外出や遠方に出る際、また旅行などで外泊する際には薬と保険証の持参は必須です。外出先で体調を崩してしまったり、状態が悪くなるようなら受診することもあるかもしれません。そのため長時間の外出や外泊する場合は施設に行き先を伝え、薬や保険証を持参したい旨をお伝えください。また、遠方に行く際は近くの医療機関を事前に探しておくことをお勧めします。出先で何かあった際にすぐ対応できるよう、事前準備はしておくと安心です。

また、紙パンツなどを利用している場合は替えのパンツも準備することをお勧めします。

アクタガワの老人ホームの場合

当社の外出・外泊の対応について解説します。アクタガワの施設でも外出・外泊は基本的に自由にできます。しかしお一人での外出についてはある程度制限があり、お一人での外泊についてはお控えいただくようお願いしています。レクリエーションでの外出・ご家族様との外出や外泊などについても以下で詳しく解説します。

一人での外出について

老人ホーム_外出

施設近くには公園やコンビニがあります

アクタガワの介護付き有料老人ホーム プレミアムハートライフ、サービス付き高齢者向け住宅 ハートライフではご家族様と相談し、状態に問題がないと判断される方については、一人での外出が認められています。いずれの施設も生活に便利な住宅街に立地しており、公園やコンビニエンスストアが近くにあります。気分転換での外出も可能です。

レクリエーションでの外出

老人ホーム_外出

満開の桜と鯉のぼりを見に施設近くで散歩

五感の生活を大切にするアクタガワの施設では、お花見や夏の海岸線ドライブ、紅葉狩りなどの外出イベントも行っています。普段入居者と接している職員の「この景色を見せてあげたい」という気持ちから、様々なところへ出かけています。

レクリエーションで外出した際の様子はこちら

ご家族との外出

老人ホーム_家族と外出もちろんご家族様と一緒に外出することも可能です。その場合は事前に外出・外泊する旨をスタッフまでお申し付けください。また施設で食事を召し上がらない場合は三日前までに食事のキャンセルをしていただく必要があります。事前に外出・外泊する旨をお伝えいただくと、職員の方で薬等の準備をし、ご家族様との外出・外泊をゆっくり楽しめるようにサポートさせていただきます。

通院について

病院受診についてはこちらのページで詳しく説明していますが、施設の提携医外の専門医に受診することも可能です。外部の病院への受診はご家族様の介助による通院が基本となりますが、難しい場合は別途費用にて施設職員が同行できますのでご相談ください。

様々な外出イベントも行っている静岡の老人ホーム ハートライフの施設一覧はこちら

浜松市老人ホーム_静岡
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者
増田 高茂(ますだ たかしげ)

多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。